猫の毛色や模様はどう決まる?

猫知識

猫にはいろんな色の子がいたり、いろんな模様の子がいます。その色や模様はどう決まっているのでしょうか?調べてみると環境ではなく遺伝子によって決まっているということが分かりました。
さっそく、どんな遺伝子か?ということを見ていきましょう。

猫の毛色・模様を決める遺伝子

猫の毛色・模様を決める遺伝子には4つの種類があるようです。

  • アグーチ遺伝子(Agouti Gene)
    この遺伝子は、猫の体毛がストライプ模様か、単色か、斑点模様かなどの基本的な毛色パターンを制御します。アグーチ遺伝子の異なる変異によって、茶色、灰色、黒、白などさまざまな毛色が生み出されます。
  • メラニン遺伝子(Melanin Gene)
    メラニンは毛の色素で、これを制御する遺伝子は猫の毛の色調を決定します。2つの主要なタイプのメラニンがありそれぞれ異なる色を作り出します。フェオメラニンは黄色系統の色を、エウメラニンは黒色系統の色を形成します。
  • 白色遺伝子(White Gene)
    白色遺伝子は、猫の毛の中に白い斑点や斑の部分を作り出すのに関与します。これにより、白い猫、白黒模様の猫、白い斑点のある猫などが生まれます。
  • 斑点遺伝子(Tabby Gene)
    斑点遺伝子は、縞模様(タビー模様)の猫に影響を与えます。縞模様の猫には縞が入る色の違いがあり、これはアグーチ遺伝子と組み合わさって猫の模様を形成します。

これらの4種類の遺伝子が相互に組み合わさり、さまざまな猫の毛色と模様を生成します。また、遺伝子の組み合わせは、両親から受け継いだ情報に依存するため、親猫の毛色も子猫の毛色に影響を与えます。猫の毛色の遺伝学は非常に複雑で、さまざまな変異が存在するため、さまざまな毛色の猫が生まれることができます。

それぞれの遺伝子の特徴

4種類の遺伝子が組み合わさって、さまざまな毛色と模様が生み出されることが分かりました。
では、それぞれの遺伝子の特徴についてより詳しく見てみましょう。

アグーチ遺伝子(Agouti Gene)

アグーチ遺伝子は、猫の毛色において、暗い毛と明るい毛のストライプ模様を生成し、特に猫の斑点模様(タビー模様)に影響を与えます。この遺伝子の異なる変異によって、猫の毛色における模様の具体的なタイプが異なります。
一般的なアグーチ遺伝子の変異には以下のようなものがあります:

  • A(Agouti)遺伝子: 通常の帯模様やストライプ模様を生成します。この変異を持つ猫は一般的なタビー模様を持つことが多い。
  • a(Non-agouti)遺伝子: この変異は、ストライプ模様の代わりに単色の毛色を生成します。この変異を持つ猫は、均一な毛色を持つことが多い。

アグーチ遺伝子は、他の毛色遺伝子と相互に作用し、猫の毛色と模様を形成します。アグーチ遺伝子の遺伝学的なバリエーションによって、さまざまなタイプのタビー猫が生まれ、毛色の多様性が生じます。この遺伝子は、猫の毛色における重要な要素であり、猫の魅力的な模様や色合いを生み出すのに寄与しています。

メラニン遺伝子(Melanin Gene)

メラニン遺伝子は、毛色や皮膚色に影響を与える遺伝子群を指します。メラニンは色素の一種で、その存在または欠如によって、生物の色合いが決まります。メラニン遺伝子は哺乳類や他の生物において色素の生成、分布、量を制御します。
メラニンには主に2つのタイプがあります:

  • フェオメラニン(Pheomelain):フェオメラニンは黄色系統の色素で、茶色や赤などの暖かい色合いを生み出します。例えば、オレンジの毛色や黄色い毛皮はフェオメラニンによって形成されます。
  • エウメラニン(Eumelanin):エウメラニンは黒色系統の色素で、黒や灰色などの暗い色合いを生み出します。この色素によって黒い毛色や灰色の毛色が形成されます。

さまざまな遺伝子がメラニンの生成や分布に影響を与え、猫や他の哺乳動物の毛色が多様である理由です。これらの遺伝子はアグーチ遺伝子や白色遺伝子とも相互作用し、個別の毛色の特性を形成します。

白色遺伝子(White Gene)

白色遺伝子は、猫の毛色において白い毛を形成するための遺伝子です。この遺伝子は、猫の毛色パターンに白色の斑点や部分的な白い毛を導入します。白色遺伝子は、猫の毛色に多くのバリエーションをもたらし、それによって異なる白い斑点や模様を持つ猫が生まれることがあります。
白色遺伝子の主な特徴は以下の3つがあります:

  • 部分的な白さ:白色遺伝子は猫の体毛の一部分に白い毛を導入します。これにより、猫の体の特定の部分(例: 顔、足、腹部)が白くなります。この遺伝子は、通常の毛色と組み合わさり、白い斑点や模様を生成します。
  • 白黒模様の猫:白色遺伝子が他の毛色遺伝子と組み合わさると、白地に黒い斑点や模様を持つ猫が生まれます。このような猫は一般的に「白黒猫」または「タキシード猫」と呼ばれます。
  • 全身白猫:まれに、白色遺伝子が強力に発現し、全身が白い猫が生まれることがあります。これらの猫は「完全な白猫」として知られ、その眼の色は通常青色です。
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斑点遺伝子(Tabby Gene)

斑点遺伝子は、猫の毛色において縞模様や斑点模様(タビー模様)を制御する遺伝子のことを指します。斑点遺伝子は、猫の体毛に縞模様を生成する役割を果たし、さまざまなタイプのタビー模様を形成します。この遺伝子によって、毛色に縞や斑点が現れ、一般的に縞模様の猫は「タビーキャット」として知られています。斑点遺伝子にはいくつかの異なる変異が存在し、それぞれが異なるタイプの斑点模様を生成します。
主要な斑点遺伝子の変異とその影響は以下の3つがあります:

  • M遺伝子(Mackerel Tabby):M遺伝子は細長いストライプ模様を生成します。これは通常、細い縞模様が背中に沿って走り、脇腹や頭にも現れます。これは最も一般的なタビー模様です。
  • Classic Tabby遺伝子: Classic Tabby遺伝子は太く太い縞模様を生成します。これらの縞はしばしばルビーのような円形の模様や、独特の模様を作り出します。
  • Spotted Tabby遺伝子: Spotted Tabby遺伝子は縞模様ではなく、斑点模様を生成します。これらの猫は大きな斑点や点々の斑点を持ち、レオパード柄のように見えることがあります。

じゃあ黒猫はどの遺伝子の影響が強いの?

家で保護した黒猫よるちー。いまは実家で両親とのびのび生活を満喫中。

黒猫の毛色は、主にエウメラニン(Eumelanin)遺伝子が影響を与えています。エウメラニンは黒色系統の色素で、黒い毛色を形成します。
具体的には、以下の遺伝子が黒猫の毛色に強く影響を及ぼすことが知られています:

  • K遺伝子(K-Locus): K遺伝子は、黒猫の毛色を制御する主要な遺伝子です。この遺伝子には2つの主要なアレル(allele;難しくなるので説明は割愛)が存在します。一方のアレル(K遺伝子がない場合、通常ドミナントとされるK遺伝子)は、黒猫の毛色を決定します。もう一方のアレル(k遺伝子、通常リセッシブとされる)は、黒猫の毛色に影響を与えず、他の遺伝子に影響を受けた毛色を形成します。
  • TYR遺伝子(Tyrosinase): TYR遺伝子は、エウメラニン色素を生成する過程に関与します。この遺伝子の変異により、メラニンの生成が促進され猫の毛色が黒くなります。
  • MITF遺伝子(Microphthalmia-Associated Transcription Factor): MITF遺伝子はメラノサイト(色素細胞)の発達と機能に関連しており、黒い毛色の形成に影響を与えます。

親子で模様を見てみよう

ちょうど家に父親猫と息子猫がいるので模様を見てみました。
父猫:クラシックタビー
母猫:三毛
息子猫:茶ぶち、茶色の部分はストライプが入っている

父猫

父猫のしんいちろうはクラシックタビー柄だと思われます。お腹はグレーの斑点になっていて不思議な模様をしています。とてもフワフワで可愛い。

息子猫

息子のとうしろうと、その双子の兄のちくちゃんは茶ぶち模様です。毛の長さと毛色の濃淡はありますが、ほぼ同じ模様になっています。

左:息子のとうしろう 右:父親のしんいちろう
左:とうしろう(弟) 右:ちくちゃん(兄)

しんいちろうととうしろうの毛色と模様が全然違うので、最初は「ホントに親子か?」と疑問に思うこともありましたが、母猫の三毛の遺伝子もあるので複雑になっているのだと思います。同時に生まれた双子の兄弟がほぼ同じ模様ということからも、遺伝によって毛色・模様が決まっているんだなと実感できます。(性格は親子とも気難しい部分があり、父猫の性格に似ると聞いてからは「やっぱり親子かぁ~」と納得しました)

猫の毛色と模様は遺伝する

ここでは、猫の毛色と模様は遺伝するという内容をまとめました。
性格は遺伝するのか?という疑問も出てきたので、近々調べてみたいと思います。

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